生態系のバランスを保つコウモリ

黒っぽい姿で空を舞うコウモリ。なんとなく不気味で怖い、というイメージはありませんか?一般的に、コウモリの生態はあまり知られていませんが、実は、生態系のバランスを保つ上で重要な役割を果たす生物です。

動画「Conserving Bats」は、ロシア西部で実施されているコウモリの保護活動について採り上げています。コウモリは、元来、森林などに巣を持ち、虫をコントロールしたり、植物の授粉を助けるなど、生態系を維持するための重要な機能を担ってきました。しかし、今日、開発に伴う森林破壊によって、絶滅の危機に瀕している種も少なくありません。そこで、草の根グループPEREVETのIgor Prokofyev博士は、地域住民にコウモリについて関心を持ってもらい、その保護活動に積極的に参加させるべく、ロシア初のコウモリ保護活動に取り組んできました。コウモリの生態系における存在意義などを正しく伝えることで、人々のコウモリに対する偏見や警戒感を解き、いまでは、多くのボランティアが、コウモリのモニタリングプログラムに参加しているそうです。

一般的にはあまり注目されていないけれど、実は生態系において重要な役割を果たしている動植物は、数多く存在し、中には、コウモリのように、絶滅の危機にさらされているものもあります。まずは、より多くの人々が、これらの動植物について正しく知った上で、その保護のためにできることを実行する―。このような学習から行動へのサイクルをまわすことが、貴重な動植物の保護につながることを、この事例は示しています。

執筆:松岡由希子

[関連サイト]
Whitley Award公式ウェブページ(英語)
Whitley Awardの受賞プロジェクトとして、Igor Prokofyev博士の取り組みが詳しく紹介されています。
http://www.whitleyaward.org/display.php?id=172