失われる森林と地球温暖化の加速

greenpeace_sumatrasforests01.jpgインドネシアの島々は原生林や野生動物が多く生息し、自然豊かな地域として知られています。特に、スマトラ島中央部に分布する広大な泥炭湿地林は、特異な生態系と生物多様性を持ち、スマトラタイガーといった絶滅危惧種が生息する世界唯一の場所。また、大気中の二酸化炭素を吸収する「カーボン・シンク」の機能を有し、地球温暖化防止の一助をも担っています。しかし近年、この貴重な自然が失われていることをご存知でしょうか?国際環境保護団体グリーンピースが製作した動画「Greenpeace-Saving Sumatra’s Peatland Forests」は、現地の人々からのインタビューを交えながらスマトラ島の現状とこれに至る原因を掘り下げ、「スマトラの環境問題が地球にどのような影響を与えるか?」について明らかにしています。

greenpeace_sumatrasforests03.jpgスマトラ島では近年、紙パルプの原料やヤシ油の需要増に伴っていくつもの大規模農園が建設され、熱帯雨林や泥炭湿地林が失われました。これにより、地元住民の住環境が脅かされ、希少な動物たちが絶滅の危機にさらされているのはもちろんのこと、地球温暖化にも深刻な影響を及ぼしています。インドネシアは、中国・米国に次ぐ世界第3位の二酸化炭素排出国ですが、この主な原因は森林伐採や泥炭湿地林の消失によるものだと考えられています。過去15年間でスマトラ島の平均気温が大幅に上昇するなど気候変動の兆候も表れはじめており、その対策が急がれます。

greenpeace_sumatrasforests04.jpg グリーンピースは、この動画の締めくくりで、スマトラ島をはじめとする森林の保護に世界全体で取り組むべきだと主張し、とりわけインドネシアにおける温暖化ガス排出削減と森林保護のためには先進国が中心となって資金面で援助する必要があると訴えています。2009年12月にコペンハーゲンで開催された国連気候変動会議(COP15)でもこのテーマが採りあげられ、森林減少を食い止めるための取り組みについて議論されたとのこと。今後、世界がこの課題の解決に向けて具体的な行動につなげてくれることを期待しましょう。
この動画は、スマトラ島という遠い場所で起こっている森林破壊が地球温暖化や生物多様性など様々な面で私たちの地球全体に影響していることを伝えています。ぜひ一度、ご覧ください。
執筆:松岡由希子

[関連サイト]
•Greenpeace公式ウェブサイト(英語)
スマトラの森林保護をはじめ、世界中で取り組んでいる環境保護活動について情報発信しています。
http://www.greenpeace.org/international/