インドネシア、ダヤク族の決意

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インドネシアのボルネオ島には世界でももっとも多様な生物が生息するとされている熱帯雨林地帯があります。
この熱帯雨林には10ヘクトルメーター内に750種の木々があると言われています。
13種の霊長類、222種の哺乳類、420種の鳥類、100両生類、15,000以上の植物類が生息しているそうです。
熱帯雨林地帯の中に入ることが難しいため、この数字も科学者の想定に過ぎません。

近年の採掘(ボルネオ熱帯雨林は石炭、鉄鉱、原油が豊富です)違法伐採、プランテーション企業などの介入により熱帯雨林は驚異的な勢いで失われています。
ダヤク族は持続可能な形で小規模の農業(米耕作、フルーツ栽培など)やゴム摘出などに頼り生活をしてきました。
ダヤク族の暮らしは自給自足が成り立っていましたが、土地を奪われ彼らの生活を続けることが難しくなっているのです。

問題の根本には先住民に政治的な権限が与えられていないことにあります。
土地の所得権を含む先住権が認められないため彼らの声は常時抹殺されています。
地方、国家政府共に対して彼らは一切政治力を持っていないのです。

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しかしLPMAという地域NGOが1998年に立ち上がって以来、地域の人々の生活は経済的に改善され人々も団結することで政府や企業に立ち向かっています。信用組合やKDA(ゴム農家協同組合)などの活動を通しダヤク族は経済的な影響力を持ち、自分たちの生活をある程度守れるようになりました。

非情な変化を目の前にし、彼らは自分たちと森のサバイバルをかけた更なる決意をした。
PERMADA(パサトゥアン・マリアラカット・アダットの略、アダットは先住権という意味です。茶色の帽子をかぶったゾンソン・マソリさんが会長)と呼ばれる、ダヤク民族同盟をは2003年に設立。
土地所有権を取得するためにダヤク族は民族史初めて政治活動に取り組み、不平な法律にチャレンジする決意をしました。

メラトゥス山脈地帯に住むインドネシア先住民族、ダヤク族は自分たちのことをダヤク・メラトゥスと呼び、彼らの住む山脈地帯も同名、ダヤク・メラトゥスと呼んでいます。
彼らの考え方には森と自分たちの区別はありません。
むしろ、母と子のように彼らは自然に頼らないと生活できないと考えています。
先住権は彼らにとってメラトゥス山脈の自然を守ることに等しく、ダヤク族はその土地なしでは伝統的な生活を守れないと理解しています。
先住権取得のため先住民が立ち上がるケースはダヤク族のみだけの戦いではなく世界各地で起こっています。
彼らの戦いに検討を祈るばかりです。

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この短編はUK独立系映画制作会社ハンドクラフテッド・フィルムスにより制作されました。(ハンドクラフテッド=手作りという意味です)
発展途上国で起こっている複雑な社会問題を分かりやすい形で一般の人々、また直接政府政策機関に対して発信することをミッションとしています。
地域のNGOと強力して映像を通し地域の人々に「声」を与え、地域の活動に役立てることを目指しています。
彼らの作品はCNN、BBC, SKYなどで放送され、様々な賞を受賞していると同時にその活動は政府機関やUNEPなどからも一目置かれています。

関連webサイト
作品詳細ページ(製作会社HP、英文のみ)
http://www.handcraftedfilms.net/