‘木の来た道-way of experiencing wood’

kinokitamichi02.jpg「木の来た道−ways of experiencing wood」は、今日の森林・木材流通の関係性を、特に日本からの視点で捉えたドキュメンタリー映像です。「フェアウッド・パートナーズ」(fairwood.jp)の企画として、森林や木材産業が抱える問題を多くの人に知ってもらい、共に考え話し合うきっかけを作るという趣旨で制作されました。

kinokitamichi03.jpg私たちは、木や木からできた製品に毎日触れているにも関わらず、それがどこからどうやって来たのかについてはほとんど知りません。そのことは、生産から消費に至るまで商業活動のほとんど全ての過程が、自由資本主義経済の名の下にグローバル化した今日においては、木材に限らず食品など、多くのものに共通することです。サプライ・チェーン(供給ルート)が長過ぎるし、不透明すぎるのです。それ故に、あらゆる物が見えないところで様々な問題と複雑に絡み合い、新たな問題をも生み出しながら私たちの手元に届きます。例えば、場合によっては、遠くの物のほうが安く簡単に手に入るという、この経済構造を維持するために、大量の化石燃料を使用して物資が輸送され、気候変動を始めとする多くの環境問題の原因を生み出し続けています。

目の前にある物の背後に刻まれた、遠い場所での、時として悲しい物語に、どうやったら気づけるのでしょうか。

地球上の出来事は全て複雑に絡み合って存在しています。制作中、どうすればこのことをうまく伝えられるか、非常に悩みました。この切っても切れない「繋がり」を深く理解することなくしては、皆が自らの消費活動が地球の裏側に対して大きな影響を及ぼしていることを真摯に受け止めることは出来ないと考えたからです。

kinokitamichi01.jpg今日、私たち人類は、未曾有の地球的危機に直面していることは抗えない事実のようです。しかし同時に、全人類にとって、今度は「人類の中のある特定の権利をもった人の利益」のためでなく「地球まるごとの利益」のために、手を繋ぎ協力し合う、またとないチャンスだとも捉えることが出来ます。

森林や木材の分野でも、様々な人達が様々な取り組みを行っています。また、全ての生命にとってかけがえのない森林、その大切さに多くの人々が目覚めつつもあります。この多様な私たち皆が、国・企業・団体やそれぞれの立場、限定的な利益などの垣根を越えて、地球大の目的のために連携し助け合えば、この大きな迫り来る危機を乗り越えられると信じています。「フェアウッド」という概念が、大きな素晴らしい変化の原動力になることを強く望んでやみません。

執筆:共同監督 三上雄己/木村輝一郎(abovo)

【参考URL】
●上映会&トーク情報
http://www.fairwood.jp/news/pr_ev/ev090515_film_preview.html

●フェアウッド・パートナーズHP
http://www.fairwood.jp/