1000kmの旅をするモウコガゼル

whitley10_vadim01.jpgウィットリー賞の受賞者の紹介です。今回は、ロシア モンゴル 中国にまたがる広大な草原”ダウリア草原”で、モウコガゼルの復活を果たした、ダウスキ自然生物圏保護団体のヴァディム・キリリュク氏の活動内容をご紹介します。

whitley10_vadim02.jpg “モウコガゼル”をご存知でしょうか?以前、NHKでも番組で取り上げられていたのですが、その移動距離が毎年1000キロ以上。とてもかわいらしい顔をしているモウコガゼルですが、何もない広大な草原を砂埃を舞い上げながら疾走する姿は勇ましいものです。
キリリュク氏が学生だった20年前にはロシアのどこにもその姿を見かけることができなかったのでNGOを設立し、もともとの生息地であるロシアに取り戻す活動を始めました。モウコガゼルが減少した原因は、モンゴルとの国境沿いにある有刺鉄線にひっかかったモウコガゼルが死んでしまうことや、密漁、そして子どもを育てる場所のモンゴルが干ばつに見舞われ食糧難に陥ったことだとわかってきました。

whitley10_vadim03.jpgそこで、国境沿いの有刺鉄線を取り除き、地元住民には辺りでの密漁を監視してもらうことと、モウコガゼルの移動に関するデータを集めてもらったのです。これにより、10年ほどの間にロシアに来る群れの数が40ほど増えました。
将来的には、その草原の国境を越えてガゼルの保護をしていきたいそうで、モウコガゼルがもともと移動していたルートを復活させたいと願っています。
自然を自然の形のまま守っていくために必要な努力をしていきたいものです。

【関連サイト】
ウィットリー賞受賞者のうち、キリリュク氏の活動内容が掲載されているHP。
http://www.whitleyaward.org/display.php?id=165