生物多様性に対する企業の活動~2010年COP10

syn7.jpg今回紹介するのは、2010年に名古屋で開催される生物多様性条約締約国会議(COP10)にむけたJBIB(企業と生物多様性イニシアティブ)およびB+B(ビジネスと生物多様性イニシアティブ)の取り組みです。5分程度の番組ですが、生物多様性に対する日本の企業の取り組みへの決意や今後の流れが分かる、非常によくまとまった内容です。

生物多様性とは、簡単に言えば動物や植物などの生物の種類がたくさんあり、バラエティに富んでいること。人間を含む生物が豊かな暮らしを営むために必要不可欠なものです。しかし、近年では環境破壊などにより地球上の生物多様性がどんどん失われています。そこで、この生物多様性の問題に世界全体で取り組むために、1992年に生物多様性条約が国連で採択されました。2008年10月現在、日本を含む190カ国とECがこの条約に入り、具体的な取り組みを検討、実施しています。

syn1.jpg生物多様性については、企業も積極的に取り組もうという機運がここ数年、高まってきています。具体的にはCOP8(2006年)の会議で企業の問題への参加が提案され、COP9(2008年)ではこういった企業活動の強化が確認され、政府が企業に生物多様性へ関与することを求めて「B+B(ビジネスと生物多様性イニシアティブ)」を発足。2010年に名古屋で開催される予定のCOP10ではこうした活動の評価や課題の指摘がおこなわれると予測されています。そこで、日本でも2008年4月に「JBIB(企業と生物多様性イニシアティブ)」という生物多様性の保全を目指して積極的に行動する企業の集まりが立ち上がり、10月にはCOP10にむけて企業の活動と生物多様性の関係を明らかにすることをテーマとしたシンポジウムが開催されました。シンポジウムには多くの企業関係者が参加し、企業として生物多様性にどう関われるのかが熱心に話し合われました。

では、具体的にどんな方法があるのでしょうか?番組では積水ハウスの事例(住宅の庭に日本にもともとある自生種、在来種を植える。こうすると日本全国の生物多様性が豊かになる)や、セイコーエプソンの事例(インドネシアでのアグロフォレストリーを用いた植林)などが紹介されています。

syn2.jpgCOP10支援実行委員会の香坂玲さんの「企業活動は問題の一部であると同時に解決の一部でもありますから、そういった意味で、企業が参加することは生物多様性の保全、持続可能な利用の大きな一歩を踏み出せる可能性がある」という最後の言葉は、強く印象に残ります。企業が生物多様性に対してできることの可能性を感じられる内容です。ぜひ見てみてください。

【執筆】阿久津 美穂(Slow Media Works)http://www.slowmediaworks.net

関連webサイト
● JBIB(企業と生物多様性イニシアティブ)
生物多様性の保全を目指して積極的に行動する企業の集まり。今回紹介している企業活動について、詳しい情報はこちらへ。
http://www.jbib.org/

●生物多様性条約について(外務省のHPより)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/bio.html