本格的に動く環境先進国~EUの温暖化対策

eur02.jpg国際的な温暖化対策の議論で先進的な意見を出し、世界をリードしているEU。この番組は、そのEUの取り組みの内容を紹介しています。温室効果ガスの削減目標や、国際会議でのEUの立場、今後の動きまで分かりやすくまとめてあり、今後の世界の温暖化対策の流れを知るのに最適です。
eur01.jpg番組では最初に、なぜ温室効果ガスを削減する必要があるのかを明らかにしています。その理由は、温暖化により起こっている洪水、間伐、熱波や氷河の溶解などの現象が人々の生活や、我々が必要とする地球環境に大きな脅威をもたらしているから。そして、その上でEUがとっている温室効果ガスの削減目標を紹介。それは2020年までにEUのCO2排出量を1990年比で 20%削減し、さらに他の産業国も同意すれば30%削減するという目標。もちろん、この目標は簡単に達成できるものではないのですが、具体的な方法や目標として太陽光、風力などの再生可能エネルギーの燃料消費を現状の8.5%から20%に増やすことも決まっています。また、その裏付けとして既に研究や開発分野で成功している企業もあり、再生可能エネルギー関連のビジネスはますます活性化していく傾向にある、とのこと。EUが今後も世界の温暖化対策の議論をリードしていくことは間違いなさそうです。
eur03.jpg現在、日本は温室効果ガスの削減目標について、2050年までに現状比6?8割減を表明しているものの、2020年の削減目標の具体的な数値についてはうやむやなまま。また、現状比にするか1990年比にするかでも大きな差があり、日本が提案している「現状比」の場合は、EUが出している「1990年比」に比べ、少ない努力で達成可能。その分、対策の効果も小さくなります。つまり、日本はEUの先進的な目標設定と比較するとかなり遅れた状態なのです。日本の政策、どうにかしてよ!と市民の立場からしっかり意見できるようにするためにも、この番組でEUの対策を勉強しておくのは有効です。ぜひ見てみてください。

【執筆】阿久津 美穂(Slow Media Works)http://www.slowmediaworks.net

関連webサイト
● TVLINK EUROPE(英語)
今回紹介した内容の背景、詳細、関連リンクなどがまとめてあります。
http://www.tvlink.org/vnr.cfm?vidID=275

● なにやら評判の悪い洞爺湖サミット・・・どこがどうだったのか、専門家に聞いてみた(カフェグローブより/日本語)
洞爺湖サミットでの議論の総括と、温室効果ガスの削減目標数値について詳しく書いてあります。
http://www.cafeglobe.com/cool/eco/ec080723.html