温暖化対策~動き出す先進国と途上国

worldbank_WDR_2010_climate change01.jpg今回の番組は、世界銀行が制作した、温暖化対策における先進国、開発途上国の役割に関する番組です。世界銀行が毎年発表している世界開発報告の2010年版の主旨を3分程度で分かりやすくまとめてあります。

世界銀行は1944年に戦後の世界経済の安定と復興を目的として設立された国際機関で、現在は貧困削減のために、世界中の開発途上国に対して幅広い援助(融資など)をおこなっています。

worldbank_WDR_2010_climate change02.jpg世界開発報告では、毎年、開発に関する報告、問題点の指摘、解決策の提案などをおこなっています。今年12月にコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組み条約締約国会議 (COP15)に先駆けて9月に発表された世界開発報告2010のテーマは、気候変動と開発について。「途上国は、開発や貧困削減の努力と並行して低炭素社会に向けて舵を切ることができるが、その実現はひとえに先進国の援助と技術協力にかかっている」と述べています。

番組では最初にこの点を言及。先進国は自国のCO2削減と途上国の資金援助をおこなう必要があり、それをリードしていくことが重要だと指摘しています。そして、途上国が将来、温暖化の多大な影響を受けることになることや、多くの対策が必要になることを世界銀行チーフエコノミスト兼開発経済担当上級副総裁のジャスティン・リン氏が語り、続いて地域ごとに必要な温暖化対策が紹介されます。その後、世界開発報告の共同ディレクターであるロシーナ・ベルバウム氏が「10年以内に環境技術を地球規模で迅速に実施しなければ危機的な状況になる」とコメントしています。

worldbank_WDR_2010_climate change03.jpgただ、途上国も何もしていないわけではありません。すでに温暖化対策を考えた低炭素型の開発は実施されており、多くの国が世界銀行に知識や資金提供について相談しているそうです。あとは環境技術を迅速に広めて実施していくのみ。そのために知識、お金、人々の行動や世論の変化が求められています。この点で先進国の助けが必要不可欠です。

温暖化対策に関する国際会議では、しばしば先進国と途上国の対立が見られます。この問題を考えるうえでも、ぜひ見ておきたい番組です。
【執筆】阿久津 美穂(Slow Media Works)
http://www.slowmediaworks.net

[関連サイト]
● 世界銀行の世界開発報告2010の発表に関するプレスリリース(日本語)
今回の番組のもととなっている世界開発報告2010の内容に関するプレスリリースです。より詳しく知りたい方はぜひ読んでみてください。
http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/NEWS/0,,contentMDK:22313318~pagePK:64257043~piPK:437376~theSitePK:4607,00.html

● 世界銀行(英語)
世界銀行のHPです。世界銀行について詳しく知りたい方はこちらへどうぞ。
http://www.worldbank.org/