広範囲にわたり発生する森林火災である「山火事」は、太古の昔から起こっていた現象です。自然に発生する山火事は、成長しすぎた樹齢の高い木をなくし、新しい木の誕生を促し、森を健康に保ってきたと言われています。しかし近年、地球温暖化によって山火事がひどくなりすぎて、問題になっているそうです。今回紹介するのは、この地球温暖化と山火事の関係を説明する２分間の番組です。

制作したのはアメリカ屈指の野生生物保護団体であるNational Wildlife Federation（全米野生生物連盟）。次世代の子どもたちのためにアメリカの野生生物と自然を守ることを目的に設立され、野生生物保護を中心に積極的に、幅広く活動を展開しています。

番組では、全米野生生物連盟に所属する気象学者のアマンダ・スタウト博士が、アメリカ西部、特にカリフォルニア州で山火事が増え、範囲も拡大しているという事実を紹介。その原因として、温暖化による気温上昇で山火事の発生する期間が長くなったこと、土地の乾燥が進んだこと、雷が増加したこと、虫が大発生したことなどを挙げています。

ただ、山火事は全てが悪いわけではありません。アマンダ・スタウト博士は「山火事は適度な回数、範囲であれば、森を健康に保つために必要な現象です。問題は、温暖化で山火事の回数が増え、範囲が拡大し、危険性が高まったこと」だと指摘しています。さらにアマンダ・スタウト博士は、山火事が増えると、人間にとっても多くの命や資産、政府の税金（2007年は30億ドル！）も失うことになると指摘。今後、山火事の多発を防ぐために、1人1人が温暖化対策をおこなうこと、問題を広めることなどを提唱して、番組は終わります。

短い番組ですが、温暖化と山火事の関係が分かりやすくまとまっており、山火事の問題を考えるきっかけになると思います。
【執筆】阿久津　美穂(Slow Media Works)
http://www.slowmediaworks.net

［関連サイト］
● NRFのサイト内の今回の事例の詳細のページ（英語）
この番組で紹介した地球温暖化と山火事について、詳しく載っています。山火事に関する他の番組を見たり、PDFのレポートをダウンロードして読めます。
http://www.nwf.org/extremeweather/wildfires.cfm