観光業の未来を見る!

boom_and_burst01.jpg交通網の発達や技術の進歩に伴い、多くの人々が世界中を気軽に行き来できるようになりました。実際、日本からも、毎年1500万人以上の観光客が海外へ旅行しているそうです。しかし一方で、航空機などの運輸手段は大量のエネルギーを消費し多くの二酸化炭素を排出することから、観光業においても環境負荷への配慮が課題になっています。では、持続可能な未来に向けて、どのような観光を目指すべきなのでしょう?

boom_and_burst02.jpg“2023年までに持続可能な観光産業を確立する”ことを掲げ、この課題に業界全体で積極的に取り組んでいるのが英観光プロジェクト「Tourism 2023」です。英航空会社・旅行代理店などが参加するこのプロジェクトでは、2023年の英国における海外旅行産業の姿として4つのシナリオを描きました。こちらの動画「Boom and Burst」はそのひとつ。好況な経済を背景に年間9700万人もの英国人が海外旅行をしているとの想定のもと、陸・海・空それぞれの運輸手段でエネルギーの効率化や再生可能エネルギーの活用が進み、環境負荷を軽減しながら、海外旅行産業も栄えるだろうと予測。次世代型の交通手段として、藻類から抽出された燃料を活用した航空機や水力とのハイブリッドエネルギーを用いた船舶を挙げています。

boom_and_burst03.jpg一方、この動画では、海外旅行が大衆化する弊害として、許容を超える観光客が押し寄せることで観光地の環境破壊につながったり、バイオ燃料の需要増に伴って農業が逼迫する可能性を指摘しています。また、観光に関わる二酸化炭素排出量が増えるというリスクもあります。交通手段のエネルギー効率化や再生可能エネルギーへの転換においては技術革新が不可欠。そのための費用を観光業界も応分に負担し、環境に優しく、より多くの人々が楽しめる観光づくりを提唱しています。

海外を旅することは、新しい価値観を認識したり、異なる文化・風習への理解を深めるのに効果的なもの。より多くの人々が自由に国を行き来することで、草の根レベルの文化交流や友好関係の構築にもつながります。そしてこれから克服すべき課題は、この利点を維持しつつ、環境負荷をいかに軽減するかということ…。「Boom and Burst」はこの問題をビジュアルでわかりやすく伝えています。ぜひご覧ください。

執筆:松岡由希子

[関連サイト]
•Tourism 2023(英語)
英観光プロジェクト「Tourism 2023」の公式ウェブサイトです。プロジェクトの狙いや活動方針などが紹介されています。
http://www.forumforthefuture.org/projects/tourism-2023