クジラと生きた少年時代

greenpeace_man_whale01.jpg海に住む最大の生き物で私たちと同じ哺乳類のクジラ。子供の頃から地球上最大の動物として教えられてきたシロナガスクジラの名前は、私たち日本人にとっても認知度が高い生きものだ。しかし、近代捕鯨により、そのシロナガスクジラも今は、絶滅危惧種に指定されている。

今回紹介する映像は、国際的な環境保護団体として活動するGreen Peaceが制作したクオリティの高いアニメーションだ。一人の校長先生のクジラに対する想いを描いた作品だ。その昔、空腹を満たしてくれたクジラが絶滅の危機にさらされていることを悔やみ、無力だったと嘆いているところに、座礁したクジラが・・・。

greenpeace_man_whale02.jpg今回のレビュー執筆に当たっては、ネット上の様々な意見やスタンスを調べてみたが、ご存知の通り、捕鯨の立場に賛成するものと不賛成の立場からの様々な意見がネット上には掲載されている。

改めて、その論点を整理すると、Wikipediaによれば、現在の捕鯨問題に対する論点は、主に以下の7つが論点であると記載されている。

1.自然保護問題としてのクジラ、2.クジラ知的生物論、3.文化としての捕鯨、4.原住民生存捕鯨、5.ホエールウォッチングとの対立、6.人道的捕殺問題、7.国際法上の争点 があると記載されている。さらに、IWC加盟国による政治的な思惑等、解決に向けた課題解消の道はとても複雑であることを認識できた。

そして、最近の一般ニュースでも取り上げられている調査捕鯨の問題がある。個人的な印象ではあるが、クジラの生態を調査するのに、非致死的調査がより有効なデータを収集するため、技術的やコスト面で解決するための研究はどの程度進められているのかという疑問である。また、商業捕鯨が再開された時に、レッドリストにも掲載されているクジラの命をどう守り、未だ詳しいことが解明されていないと言われるクジラの生態をどう管理していくのかが不明であった。

greenpeace_man_whale03.jpg日本の国土の四方を海に囲われ、古くから海産物の恵みに多くを依存してきた日本は、温室効果ガスの削減に加えて、海洋生物の保全に対しても、COP10開催の議長国として、リーダーシップを発揮する責任が求められる。

そして、今回の執筆により理解できたこと、それは、捕鯨支持派・反捕鯨派両方の立場で共通しているのは、海の生態系や海洋資源を有効に活用すべきであること、そして、反捕鯨派もクジラを食べることや、伝統的かつ海洋資源の持続可能な利用を行うための漁法に対しては、否定をしていないことだ。

海洋資源としての持続的な利用、様々な生きものの命を守り、生態系を保全することは、様々な国の立場を超えて、少なくとも世界中の人々が向く視線の先は共通であると信じている。共通の課題解決のため、捕鯨支持派・反捕鯨派が歩み寄ることは十分に可能であると信じている。

執筆:萩谷衞厚

【参考サイト】

●国際捕鯨委員会(IWC):http://www.iwcoffice.org/

●グリーンピース・ジャパン:http://www.greenpeace.or.jp/

●水産庁 捕鯨の部屋:http://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/index.html