ファッション産業の未来予想図 Part2

fftf_community_couture01.jpg現在、衣服で使われている化学繊維の原料の多くは石油。綿は農場で栽培されています。また、製造工程ではオートメーション化が進み、多くのエネルギーが消費される一方で、温暖化ガスを排出しています。つまり、現代のファッションは、気候変動はもちろん、石油資源の枯渇や食糧不足などの地球規模の課題と密接につながっています。

fftf_community_couture02.jpg動画「Community Couture」は、英非営利団体「Forum for the Future」と大手アパレルメーカーのリーバイ・ストラウス社による共同プロジェクト「Fashion Futures 2025」が作成した、2025年のファッション産業に関する4つのシナリオのひとつ。このシナリオでは、気候変動対策が遅々として進まず、資源が枯渇した2025年におけるファッションの姿をシミュレーションしています。人口増に伴う食糧不足により綿農場では小麦などが栽培され、エネルギーや資源の価格は高騰。ときには武力を用いて、少ない資源を互いに奪い合っています。新品の衣類は高価になり、もはや多くの人々にとって手の届かないものへ…。地域がまとめて調達したり、 画一的な制服を日常ファッションに導入するという工夫が施される一方、不要となった衣類は貴重な資源として利用されるようになります。このような状況を反映し、多くの人々にとって、ファッションは、使い捨てる時代から「作って、直す」という文化へと変化していきます。

fftf_community_couture03.jpgファッションは、単に寒さや雨風をしのぐものではなく、人々の個性やセンスを表現できる貴重な手段。あなたは、このファッションの楽しみを過度に奪われてしまう「Community Couture」のような世の中を望みますか?従来、日本では、着物を仕立て直したり、傷んだ箇所をオシャレに繕ったりと、物を大切に使う習慣が根付いていました。この伝統を受け継いだ私たちはきっと、持続可能な世界を実現しながら、ファッションや美を自由に楽しめる方法を創りだせるはずです。「Community Couture」を”反面教師”としながら、具体的にどのような心がけや取り組みが必要なのか?をちょっと考えてみましょう。

執筆:松岡由希子

[関連サイト]
●「Fashion Futures 2025」公式ウェブサイト(英語)
「Fashion Futures 2025」による研究レポートやシナリオ動画が紹介されています。
http://www.forumforthefuture.org/projects/fashion-futures