アフリカ貧困地にスポーツを広げよう

nature_and_sports_camp01.jpg老若男女とわず、世界中が熱狂した「2010 FIFAサッカー・ワールドカップ」。華麗のスーパープレイに酔いしれ、選手たちのひたむきな姿に感動し、改めてスポーツの持つパワーを実感させられましたね。では、環境保全や貧困対策といった世界全体が抱える課題の解決に、スポーツを組み合わせてみるとどうでしょうか?これを実践しているのが、ケニアのナイロビにあるスポーツと環境の複合プログラム「Nature and Sports Camp」です。

nature_and_sports_camp02.jpgこのプログラムは、実は日本とも深いつながりがあります。2001年、日本のNPO団体「グローバル・スポーツ・アライアンス」と国連環境計画(UNEP)とが協力し、ケニアの地元スポーツアカデミー「Sadili Oval Club」と提携してこのプログラムを設立しました。環境教育はもちろん、サッカー・テニスといった一般的なスポーツにさえ触れる機会の少ない貧困層の子どもたちに、スポーツの楽しさを伝えながら、リーダーシップスキルや自然環境に関する知識を身につけさせるのが狙いです。ケニア国内のみならず、遠く日本からもボランティアコーチが参加し、専門的なスポーツトレーニングを実施する一方、授業やワークショップを通じて、環境教育やリーダーシップ教育を提供。子どもたちは、植樹活動や清掃活動などコミュニティを巻き込んだ環境活動を実践し、このプログラムで学んだことを地域の環境保護に役立てています。これまでに7000人以上の子どもたちがこのプログラムを巣立ち、さらにプログラムも需要は高まっているとか。「Nature and Sports Camp」を成功事例として、ケニアのみならず、他の発展途上国での展開も望まれます。

nature_and_sports_camp03.jpgいかなるスポーツも、健康な体と健全な環境は不可欠なもの。「Nature and Sports Camp」は、スポーツを通じて子どもたちの健全な心身を育て、土や空気、緑など、周りにある自然環境に触れさせながら、地球環境の意義やその大切さを理論でも教えるという画期的なプログラムです。このような取り組みの積み重ねによって、持続可能な未来を実現するための次世代リーダーを生み出すことができることでしょう。

執筆:松岡由希子

[関連サイト]
国際環境計画(UNEP)の「Nature and Sports Camp」紹介ウェブページ(英語)
「Nature and Sports Camp」の活動について、画像や動画などを交えて紹介しています。
http://www.unep.org/sport_env/Activities/NatureCamp.asp