テクノロジーで環境と農業を両立

defra_peter_kendall01.jpg耕運機やトラクターなどによる機械化や化学肥料・農薬の開発によって、近代の農業はその効率性を大幅に向上してきました。しかし、一方で、農作業を通じて多くのエネルギーが消費されることは地球温暖化の一因にもなりえますし、化学肥料が土壌を痩せさせるなど、地球環境に対する他の影響も懸念されています。では、環境に配慮しながら、農業の生産性をさらに改善する方策はないでしょうか?動画「Focus On Technology」では、このテーマについて採りあげています。

defra_peter_kendall02.jpg現在、世界中の農場では化学肥料が広く使われていますが、肥料の過剰な散布は土壌に悪影響を及ぼし、かえって収穫量の減少にもつながるといわれています。言い換えれば、化学肥料の最適化は、地球環境にとって重要なことであるのみならず、農業の生産性をも左右するのです。そこで、農業を営むPeter Kendallさんは、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)を活用した施肥マネジメントシステムを導入した経験から、その方法や効果について、動画「Focus On Technology」で語っています。このシステムは、センサーで土壌の栄養レベルを測定し、どの地点の栄養レベルが高く、どの地点が低いかをマップ化した上で、必要な場所に必要な量の肥料を効率的に行き渡らせることができるという仕組み。施肥の作業が効率化されることで、消費エネルギーの削減につなげられるだけでなく、化学肥料の最適化によって、地球温暖化の原因となる亜酸化窒素の土壌への流出を軽減することができるそう。また、消費電力や肥料の使用量が効率化されれば、生産コスト全体を節約することもできます。

持続可能な農業には、「農業の生産性向上」と「環境負荷の軽減」という2つの目的を同時に実現できることが必要です。「Focus On Technology」のような実際の導入事例を広く共有し合い、様々な観点でしっかり検証していくことが、そのための着実な一歩といえるでしょう。

執筆:松岡由希子

[関連サイト]

「National Farmers Union」ウェブページ(英語)
イングランドおよびウェールズの農業のための団体「National Farmers Union」の公式ウェブサイトです。英国や欧州を中心とした農業・畜産業に関する情報が豊富に掲載されています。

http://www.nfuonline.com/