限りある水産資源

マグロは、日本はもとより、世界各地で日常的に消費されている魚。その7割以上は、太平洋で捕獲されていますが、密漁などによって、その個体数が減少しています。国際環境保護団体「グリーンピース(Greenpeace)」は、このような太平洋でのマグロの個体数減少に警鐘を鳴らすとともに、より持続可能なマグロ資源の保護に取り組んでいます。

中でも、深刻な危機にさらされているのが、日本でも馴染み深い、キハダマグロとメバチマグロ。数少ないマグロをより多くの漁船が争うように漁獲することで、さらにマグロの個体数が減るという悪循環に陥っています。一方、太平洋に浮かぶ島国にとって、漁は“食”にも“職”にも不可欠な存在です。そこで、これらの国々の経済的利益を担保しながら、持続可能な漁業への転換を図るため、海洋保護区を設置し、漁の規則を改正。たとえば、巾着網を使った漁が禁止されました。また,持続可能な漁のための技術トレーニングも実施されています。今後、マグロ資源を確実に保全するためには、一部に解禁されたままとなっている延縄漁業の全面禁止など、さらなる施策も必要でしょう。また、マグロ缶ブランドや小売店に対して、持続可能な漁によって捕獲されたマグロを積極的に調達するよう働きかけ、サプライチェーン全体で、持続可能な漁を後押しする仕組みづくりも必要です。

マグロの個体数の減少は、遠く離れた太平洋での問題と捉えがちですが、マグロを日常的に食べる習慣を持つ私たちにとっても“対岸の火事”ではありません。動画「Pacific Tuna in Line」をご覧いただき、私たちにとって貴重な食用魚・マグロについて、少し考えてみましょう。

 

 

執筆:松岡由希子