世界の食糧問題~人々を救う解決策は

fo01.jpg今回紹介するのはIAASTDの制作した世界の食糧問題に関する番組です。IAASTDはInternational Assessment of Agricultural Science and Technology for Developmentの略で、農業の科学技術や知識のクオリティや有効性を評価する、国際的な評価の取り組みです。2005年から2007年にかけて、飢餓や貧困を削減し、栄養、健康状態を高め、社会と環境の持続可能性を保つことを目的に、世界110カ国、900人以上の参加者をまきこんだ会議や調査などが実施されました。UNEP(‘国連環境計画)やFAO(国連食糧農業機関)などの国連機関に世銀やWHO、NGO、研究者などが加わり、様々な立場から解決策を考えました。そして、その成果は2008年 に報告書としてまとめられています。

fo02.jpg番組では最初に世界には栄養失調の人々が8億5000万人もおり、2050年までに気候変動と人口増加(なんと66億人から90億人に増える可能性も!)の影響でさらに栄養失調が増えるだろう、という衝撃の事実を紹介。このままでは食糧が足りず、危機的な状況だということが明らかにされます。

そのうえで、解決策がいくつか紹介されます。最初はバイオ技術の可能性。ただ、遺伝子組み換えなどの最新技術で病気や干ばつに強い作物ができたとしても、人体や生態系への影響が分かっていない点が不安だというコメントも加えられています。次は昔からある伝統的な農法を活用する方法。ホンジュラスでの成功例をとりいれながら紹介しています。最後に紹介されているのは単一作物の栽培にだけ頼るのではなく、伝統的な穀物なども一緒に栽培する方法。インドを例にあげ、こうすることで、いかに人々の生活が安定し、市場価格の変動などのリスクに対応することができ、栄養的にも良いかが説明されています。また、こうした取り組みをする際には貧しい人々と企業、政府、NGOが一緒におこなうことが重要で、今後もっと増やす必要があることも指摘されています。

fo03.jpg普段なにげなく毎日の食事を食べていると、ごはんが食べられずに困っている人々が世界にいるという事実を遠く感じてしまうことがあります。でも、これだけ世界中の国々がつながっており、輸入品もたくさん入ってくる日本の私たちも食糧問題には大きな関わりがあります。この番組は、食糧問題は世界の問題であり、今それが危機的な状況だということ、でも解決策もあることをあらためて認識させてくれます。ぜひ見てください。
【執筆】阿久津 美穂(Slow Media Works)http://www.slowmediaworks.net

関連webサイト
● IAASTD(英語)
概要、文書、FAQ、プレスリリースなどがあり、IAASTDがどのような団体か総合的に理解できます。
http://www.agassessment.org/

● IAASTDの報告書(英語)
HP上かPDFの状態で報告書の内容が読めます。
http://www.agassessment.org/index.cfm?Page=doc_library&ItemID=14