大豆栽培が引き起こす悲劇 第二章

killing_fields2_002.jpg世界的な食肉・乳製品の消費の増加に伴い、家畜飼料の需要も大幅に高まっています。南米では、広大な森林が大規模農場に生まれ変わり、農薬や化学肥料を利用して遺伝子組み換えされた大豆を栽培しています。国際環境NGO「Friends of the Earth」のショートフィルム「The Killing Fields」では、この大規模農場による大豆生産が周辺地域や地球全体にどのような影響をもたらしているのかについて、詳しく採りあげています。

killing_fields2_003.jpg大規模農場で使用されている有害な農薬は、周辺住民の貴重な水源を汚染するだけなく、彼らの生命をも脅かしています。Silvino Talavera君もこの犠牲となった一人。2003年、帰宅途中に農薬を体に受け、11歳の若さで亡くなりました。また、これらの地域では、飢餓や食の安全といった問題がその深刻さを増している一方、一部の大手企業が大豆農場をコントロール下におさめ、多額の収益を上げています。南米で生産された大豆の多くは、安価な家畜用飼料として欧州へ輸出され、欧州の工場型農業を支えています。つまり、南米の自然環境やこの周辺で生活してきた住民の犠牲のもとに、欧州の食肉・乳製品が届けられているのです。このような大規模農場中心の工場型農業は、環境にも私たちにとっても、けして持続可能なものではありません。

では、この問題をどのように解決していけばいいのでしょうか?この動画では、家畜の飼料を南米からの輸入大豆に過度に依存している現在のシステムを変えるべきだと訴えています。そのためには、政府は工場型農場を過剰に保護する政策を転換し、環境や食の安全に配慮した非集中型の農場をサポートするべきだと訴えています。また、家畜用飼料においても「地産地消」を理想とし、欧州での飼料作物の生産を推進することも必要かもしれません。家畜用飼料の大部分を海外からの輸入に依存している日本でも、実は、欧州と同様の問題を抱えています。この動画をご覧いただき、私たちが日々、食べているお肉や乳製品はどのような飼料に育てられ、その飼料となる作物はどのように生産され、それがどんな影響を及ぼしているのか、改めて見つめてみてください。

執筆:松岡由希子

[関連サイト】
「Killing Fields」公式ウェブサイト(英語)
この動画「Killing Fields」に関する公式ウェブサイトです。南米の大豆農場がもたらす影響について詳しく紹介されています。
http://feedingfactoryfarms.org