6,500万人のライフライン〜メコン川

チベットの高地から始まり、中国、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムの6カ国を全長5,000キロにわたって流れる、メコン川。世界で12番目に長い川であり、ドイツとフランスを合わせた大きさに相当するその広大な流域では、6,500万人以上の人々が生活していMekong River」では、自然環境の変化によって、徐々に影響を受けつつあるメコン川の現状を伝えています。いわずもがな、メコン川は、この流域で生活する人々にとって、不可欠なライフライン。生活用水だけでなく、農業や漁業など、人々の生計をも支えてきました。

長年、メコン川は、人々の生活と共存し、持続可能に営まれてきましたが、近年、人口増加や経済発展により水資源の需要が増加する一方、気候変動の影響から降水量が減少したり、
海面上昇に伴ってメコン川への塩水の流入が増えるなど、従来の適正なバランスを崩しかねない現象や要因が明らかになっています。たとえば、これまでその大部分が農業用水として
利用されてきたタイのムン川では、今後、近隣の都市への水供給が増えることが予測されていますし、カンボジアのトンレサップ湖は、環境のホットスポットとして指摘されています。
これらの課題を解決するためには、気候変動などへの対策だけでなく、メコン川の上流と下流、都市部と農村部、家庭用水と農業用水、工業用水など、それぞれの需要や利益を調整が必要。
そのためには、メコン川流域の国々が協調し、政策や組織、システムの改善に取り組むことが、求められています。
気候変動など、地球環境の変化を感じながら、今は、なんとか持ちこたえている、メコン川。この川が私たちに与えてくれている時間を無駄にすることなく、流域の国々はもちろんのこと、
世界全体で、この課題を認識し、解決に向けて、着実に前進していくべきでしょう。

 

執筆:松岡由希子

 

[関連サイト]

 

UNEP(国連環境計画)によるメコン川の現状まとめ(2008年時点・英語)
UNEP(国連環境計画)がメコン川流域の各国の現状をグラフィックでまとめています
http://www.unep.org/dewa/vitalwater/article120.html