サイを野生に帰すために

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このイッカクサイたちは、マナシとロジェという愛称で呼ばれているそうです。2頭は、2004年の夏、ブラフマプトラ川の洪水から助け出され、リハビリ・保護センター(CWRC)で自然復帰のための訓練を受けました。この保護センターは、2001年にWTIとIFAW、そしてアッサム州森林局が共同で創立したもので、様々な動物を受け入れることができるインド初の施設です。ここでは、野生に戻されても生き延びることができるようになるまで動物を世話します。以前は、助けても動物園に連れて帰って終わりだったものが、野生復帰させることが可能となりました。
2頭はCWRCから一晩かけてマナス国立公園に護送され、野生動物の専門家や有力者など100人以上の見物人が立ち会う中、無事に自然に帰されたのです。
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IFAWとWTIは数年前から絶滅が危惧される動物の個体数を増やすなど、公園の生態系を護るための活動を行っています。サイの他に、絶滅危惧種であるアジアゾウも野生に帰しています。しかし、これもまだ2度目で始まったばかり。人工飼育されたゾウを野生に帰すことに成功した国は他にスリランカとケニアしかないといいます。
イッカクサイ(インドサイ)は、特に絶滅が危惧されている種です。世界遺産として登録されているマナス国立公園にも、以前は100頭以上の野生のサイがいましたが、このマナスにサイが再び戻ってきたのは、なんと10年ぶりと言います。ネパール南部のチトワン国立公園でも、2000年の544頭から2005年には372頭に減少したといいます。そして、地球上でも、わずか1,700頭。
しかし、この数字も、一旦は約700~800頭(1966年調査)に減ったものを、今回のような保護活動による努力によって、増やしてきた数値です。
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では、この原因は何なのでしょうか?
このイッカクサイ(インドサイ)の危機もまた、私たち人類が大きく関与しています。インドサイの角は昔から解熱剤や強壮剤として重宝され、皮も売買の対象となるため、多くのインドサイが密猟の対象とされてきたのです。また、生息地である森林や湿地の開発が進められたことも、絶滅危機の原因のひとつとされています。
私たち人類が追いつめた結果であるからこそ、今私たちがこの危機から救うことを考えなければならないのではないでしょうか。

関連webサイト
IFAW
▶インドでサイとゾウが野生復帰、保護区域も拡大
http://www.ifaw.org/ifaw/general/default.aspx?oid=227201
▶IFAWがインドでサイを野生に帰す
http://www.ifaw.org/ifaw/general/default.aspx?oid=202918

絶滅の危機にあるイッカクサイ、密猟の被害に
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2092021/765231