ロールスロイスの挑戦~航空機用エンジンの開発

cantos_rollsroyce03.jpgロールス・ロイスと聞き、みなさんは何を思い出しますか?おそらく、多くの方があのイギリスの高級車を思い出すと思います。しかし、実なロールス・ロイスは高級車の代名詞だけでなく、航空用エンジンを開発、製造している企業としても有名です。この番組はロールス・ロイスが企業として、どのようにエコな新技術を開発しているかを紹介しています。

cantos_rollsroyce01.jpg5分程度のこの番組は、2部構成になっています。最初は環境への負荷を最小限にする技術について。ロールス・ロイスは最新技術の投入により2020年までにCO2を50%削減し、窒素酸化物を80%削減することを目標にしています。そのためには最新技術が必要不可欠なのですが、その具体的な方法としてエンジン設計の工夫や燃料効率を上げる方法を紹介しています。設計段階を終え、今は個々の部品やエンジン機器の開発、生産段階にあり、今後は組み立て、試験の段階に移るとのことです。

2部構成の後半は「知識を総動員する」というテーマのもと、どのようにロールス・ロイスが技術開発に取り組んでいるか、また、将来にむけてどのようなビジョンを持っているかを紹介しています。印象的なのは、現段階でベストの技術を使って市場に出す製品開発のプロジェクト、最新技術を使った実験、検討を進めているプロジェクト、大学の協力のもと最新技術を探求しているプロジェクトがあること。様々な段階の開発を同時におこなうことで、未来の技術の準備を着々と進めているのです。「あとはボーイングやエアバスが、2015年頃に150人乗りの旅客機の分野で新型のジェット機を開発する際、ロールス・ロイスの新技術を登用するかどうかが鍵だ」とディレクターのリック・パーカーさんは語っています。

cantos_rollsroyce02.jpg最後に、番組では新技術の導入ともに排出権取引によるCO2のオフセット(相殺)の必要性も訴えています。便利だけれど排出量が多い「飛行機」という移動手段と温暖化の折り合いをどうつけていくか、これは未来の大きな課題です。この「新技術と排出権取引をおこなっていく」という考え方は、課題の答えの1つとなるのではないか、と考えさせられました。具体的な未来の環境技術を知りたい方に、特におすすめです。

※ 豆知識:ロールス・ロイスは、もともと自動車自動車部門と航空機部門が一緒だったのですが、1973年に別会社となり、1998年に自動車部門はフォルクスワーゲンとBMWの買収を受け、ロールス・ロイスブランドはBMW系に分裂しました。
【執筆】阿久津 美穂(Slow Media Works)
http://www.slowmediaworks.net

関連webサイト
● ロールスロイスのHP(英語)
http://www.rolls-royce.com/index_flash.jsp

● CANTOS
持続可能なビジネスをビデオで紹介しているHP。今回の紹介ビデオが入っています。
http://w3.cantos.com/cantos/dyn/main.php?t=green&CantosSID=a0296aa17e933af906de8c17315f0d01_C

● ウィキペディア:ジェットエンジンについて(日本語)
番組で出てくるエンジンの構造をより理解するための参考にどうぞ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3