土の味はいかが?

dirt_tasting01.jpg様々な種類のワインを、香りや色、舌触り、喉ごしなど、五感で楽しむワインテイスティング。最近は、プロのソムリエさんのみならず、一般のワイン愛好家にも、お気に入りのワイン情報をいち早く入手したり、仲間同士のネットワークの場として活用されています。では、このワインテイスティングの発想を土に応用してみるというのはどうでしょう?
オーガニックの種や苗などを販売している「Seeds of Change」は、オーガニック栽培を推進する英チャリティ団体「Garden Organic」と提携し、「土のテイスティング」というイベントを初めて開催しました。「野菜の味は土の良し悪しで左右される」ともいわれるとおり、土の特性によって、栽培される野菜・果物にも微妙な影響を与えるそう。そこで、このイベントでは、ロンドン、グロスタシャー、エセックス、コヴェントリー、ベッドフォードシャーといった英国で代表的な土を5種類選び、「テイスティング」を行いました。ワインテイスティングと同様、土をワイングラスに入れ、水を注いで回しながら色やテクスチャを見たり、香りや臭いを嗅ぐなど、それぞれの土の違いを目や鼻で体感。砂っぽいもの、塩分の多いもの、粘り気が強いものなど、その土壌や地質によって実に様々な土があり、その特徴は野菜や果物の香りや栄養分などにも反映されています。この珍しい「土のテイスティング」に最初は戸惑っていた参加者たちも、次第に土の香りや色を楽しみながら、食物と土のつながりを実感したようです。

dirt_tasting03.jpg近年は、農業生産の効率を高めるため、農作物の栽培に化学肥料や化学合成農薬が広く使用されていますが、これらの化学物質は土壌を痩せさせる原因になるのみならず、根を通じて農作物に移動し、いずれは私たち人間の体内にも蓄積されるおそれが…。地球環境にもヒトにも優しい食生活に転換するためには、まず、「私たちの食が地球とどのようにつながっているか?」を知ることが大切です。「土のテイスティング」は、土・作物・ヒトが共につながり、循環しているということを、私たちに改めて気づかせてくれるきっかけになることでしょう。

執筆:松岡由希子

[関連サイト]
英環境・食料・農村地域省(Defra)の公式ウェブサイト(英語)
環境や食について担当する「環境・食料・農村地域省」の取り組みが
紹介されています
http://ww2.defra.gov.uk/

「Seeds of Change」の公式ウェブサイト(英語)
オーガニックの種を製造・販売する「Seeds of Organic」の取り扱い商品や有機栽培のコツなどが紹介されています
http://www.seedsofchange.com/