低炭素社会の実現へ~草の根活動

ashden_awards09_lowcarboneconomy03-1.jpg英国シュロップシャーのカウンティ・タウンのシュルーズベリー(Shrewsbury)で、地域社会との協力体制により「低炭素地域社会(Low Carbon Communities、LCC)」の実現を目指す慈善団体「マーチズ・エネルギー・エイジェンシー(MEA)」の活動レポート。

MEAは、地球温暖化問題や来るべきピークオイル(原油の究極埋蔵量の半分を産出したときにやってくるとされる、世界全体の石油生産量の限界点)への対策として、二酸化炭素の排出が少ない地域社会の形成をめざしています。その活動の1つが、地域社会における持続可能なエネルギーの実用化です。活動の一環として、MEAはシュルーズベリーの地域社会グループ、企業、一般家庭との提携による「低炭素地域社会(LCC)」プログラムを展開。持続可能エネルギーを利用するための技術や知識を提供するほか、エコビジネス創設の支援活動、資金援助などを行っています。

持続可能なエネルギーを実用化には高度な知識が必要となり、その過程も複雑であることから、一般市民が二酸化炭素を削減しようと思っても、実際はどうしてよいか分からない場合が多いとされています。MEAはそうした市民をサポートし、二酸化炭素削減を実現するために、専門家との橋渡しの役目を果たしています。

ashden_awards09_lowcarboneconomy01.jpgレポートでは実際の成功例いくつかが紹介されています。その1つが「ホブソンズ醸造所」。ビールの製造過程に風力発電や土壌熱源ヒートポンプなどを取り入れることで、電気代が従来の20%に抑えられています。もう1つの例は「ブルームパークファームB&B」です。太陽光発電システムを設置し、浴室に必要な温水を生産して、大幅な省エネを実現しています。このほかリポートでは、LCCプログラムによる地域社会集会や、ラコンチルデ小学校での教育プログラムも取り上げられています。

これらの活動実績が評価され、MEAは、持続可能エネルギーの優れた取り組みに贈られる「アシュデン賞」で2009年度の慈善団体賞(Charity Award)を受賞しています。

ashden_awards09_lowcarboneconomy02.jpg地球温暖化問題の深刻化がさまざまなメディアを通じて連日のように報じられる中、誰もが二酸化炭素削減対策には関心を持つようになっています。ただ実際には自分自身では何をどうすればよいのか分からず、専門家や政治家に任せてしまっているのが現状です。今回のレポートで、MEAは日常生活での二酸化炭素削減への取り組みが可能でだと呼びかけています。地球温暖化問題の取り組みにおけるMEAのような草の根運動の大切さを改めて感じました。

【関連URL】
●マーチズ・エネルギー・エイジェンシー(MEA)ホームページ
http://www.mea.org.uk/