電子廃棄物処理の裏で起っていること〜インド〜

コンピュータは、過去20年足らずの間に、オフィスでも、家庭でも、欠かすことのできない情報インフラとして定着。定期的に買い替えるユーザも多く、これによって、より多くの中古コンピュータが電子廃棄物として処分されています。では、ユーザが廃棄したコンピュータは、その後、誰の手に渡り、どんなことが行われているのでしょう。国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)が製作した動画「Electronic Waste India」では、インドで急速に増加している電子廃棄物のリサイクルの現状を伝えています。
インド・デリー東部の、あるリサイクル作業所では、うずたかく積み上げられた電子廃棄物から、希少金属やコンピュータ部品を取り出す作業を実施。これらの製品には、有毒な化学物質が多く含まれており、リサイクルの過程で、作業員の健康や周辺の環境に悪影響を及ぼしています。たとえば、コンピュータ基板には、鉛、水銀、カドミウムが含まれており、リサイクル過程で、これを焼いている作業員は、有害な煙によって目を痛めることもあるとか。ケーブルや基板から希少金属を取り出すのに使われる酸は、使用後、そのまま下水管に流されています。電子廃棄物を焼いたときに発生する煙が、子供の遊び場や学校をも覆うことも…。科学的な分析では、周辺のホコリや土壌、水などから、高レベルの有害物質が検出されています。
インドの安価な労働力を求め、欧米など世界各地から、多くの電子廃棄物が流入し、インドでは、電子廃棄物のリサイクル市場が急成長していますが、作業員や周辺住民の健康や環境を犠牲にして、多くの利益が生み出されているとしたら、本末転倒。グリーンピースでは、「メーカー企業の責任で、製品の原材料を、有害な化学物質からより安全なものへと切り替えるべきだ」と主張しています。
「不用となり、廃棄された後の電子廃棄物が、どのように処分され、これによってどんな問題が起きているのか?」について、私たち一般ユーザも、より関心を払うべきなのかもしれません。

執筆:松岡由希子
[関連サイト]
国際環境保護団体「グリーンピース(Greenpeace)の公式ウェブサイト(英語)
電子廃棄物の処理やリサイクルにおける世界の現状が、ビジュアルとテキストでまとめられています。
http://www.greenpeace.org/international/en/campaigns/toxics/electronics/the-e-waste-problem/where-does-e-waste-end-up/