母なる海のなかへ 第一章

greenpeace_drop_into_the_ocean1.jpg記録的な猛暑となった2010年の夏、海のレジャーを楽しんだ人も多かったことでしょう。どこまでも広がる青い海を眺めているだけで、開放的でリラックスした気分になるものです。では、一見平穏そうに見えるこの海で、いま、どんなことが起こっているのでしょうか。このテーマについて、国際環境保護団体「Greenpeace」が短編ドキュメンタリー映画を製作しました。

greenpeace_drop_into_the_ocean02.jpg「Drop into the Ocean」は、海と人類とのこれまでの変遷を振り返りながら、現在、海が抱える危機について描いています。地球の表面の70%以上を覆い、多種多様な生命が宿る海は、気候や降雨を制御し、酸素を放出するなど、地球上の生物にとって不可欠な機能を持ち、私たち人間の貴重な食料となる魚介類をはぐくんでいます。しかし、近年、この海が危機に瀕しています。人口増加や食生活の変化によって魚の需要が増え、この需要を満たすために、過度な漁が横行。魚群探知などの技術進歩から、より大規模な漁が行われ、海洋生物が大量に捕獲されるようになりました。中でも、食用の魚だけを区別することなく小さな魚や不要な海洋生物も一斉に捕獲する「混獲」は、多くの海洋生物を絶滅の危機に陥れる原因のひとつとみられています。また、サメなど、一部の魚を極端に多く捕獲することによって、生態系のバランスが崩されつつあるという点も見過ごせません。にもかかわらず、漁獲量が減ると、別の漁場を求め、そこで十分に獲れなくなると、また新しい漁場を探すという悪循環が続き、海洋資源はますます枯渇の一途をたどっています。

海は、陸地に比べて直接目にする機会が少ないこともあり、これが抱える環境問題への関心度はけして高いとはいえない面も…。とはいえ、陸地と同様、海においても、生物多様性や生態系の維持は重要な課題です。むしろ、陸地と異なり、広くひと続きになっているがゆえに、この課題の解決には、各国が協調し、国際的に取り組むことが必須ともいえるでしょう。まずは、この動画をご覧いただき、海がいま直面している危機を知ってください。

執筆:松岡由希子

[関連サイト]
グリーンピースインターナショナル(Greenpeace International)の公式ウェブページ(英語)グリーンピースインターナショナルの環境保全活動に関する情報が掲載されています。
http://www.greenpeace.org/international