燃料の地産地消化~イギリス

ashden_awards10_suffolk01.jpg木材は、効率的なボイラーを使えば、貴重なエネルギー源として利用できるため、クリーンなエネルギーのひとつといわれています。そこでこちらでは、地元の木材をエネルギーとして活用しているイングランド東部サフォーク(Suffolk)の事例を採り上げてみましょう。

ashden_awards10_suffolk02.jpg動画「Investing in Wood Fuel」は、学校・オフィスで木材燃料へのエネルギー転換に取り組む、サフォークについて紹介しています。サフォークの公的インフラをつかさどる「Suffolk County Council」は、地元企業と共同で、地元の森林からとれる木材をチップ化し、学校・オフィスの燃料にするという、木材燃料の「地産地消」に取り組んでいます。特徴的なのは、木材燃料のためのサプライチェーンを地元で構築していること。木は森林で伐採された後、約1年間、飛行場跡地で、日光と風に当てて乾燥させながら保管。含水率が30%程度になったら細かくチップ化され、ボイラーの燃料として各学校・オフィスに届けられます。また、木材は毎年、別の森林から計画的に収穫しているので、それぞれの森林が過度な伐採で荒れることなく、森林の持続可能性を促し、生物多様性の維持・推進につながっているそうです。

ashden_awards10_suffolk03.jpg2006年から2009年までの間にサフォークの学校・オフィスで導入された木材燃料用ボイラーは、あわせて20基。年間3.2メガワットのエネルギーを産出しています。これによって、年間1200トンの二酸化炭素排出量が削減でき、光熱費も25%カットできました。また、副次的な効果として、学校に通う子どもたちの環境意識の向上や環境教育にもつながっています。

サフォークでのこれらの取り組みは、地元の森林資源を活用してクリーンエネルギーへの転換をはかり、二酸化炭素排出量や光熱費を削減するだけでなく、これと計画的な森林の管理とを組み合わせることで「持続可能な森林づくり」をも実現している点が、特に優れているといえるでしょう。2010年英国の「Ashden Award」を受賞し、英国内外から注目されているこの事例を、ぜひ動画でご覧ください。

執筆:松岡由希子

[関連サイト]
「Ashden Awards」公式ウェブサイト(英語)
2010年の受賞プロジェクトをはじめ、これまでの受賞プロジェクトなどの情報が掲載されています。
http://www.ashdenawards.org/

「Suffolk County Council」公式ブログ(英語)
「Suffolk County Council」のサフォークでの取り組み・活動について紹介
http://www.suffolk.gov.uk/