ペンギンの生息地を脅かすもの

whitley_awards_pablo01.jpg地球の総面積の約70%を占める海は、私たち人類にはもちろん、その他の生物にとっても欠かすことのできない存在。しかし近年、原油流出や海洋生物の乱獲、廃棄物の不法投棄が、これを汚染し、生態系にも悪影響を及ぼしています。このような海洋環境の変化によって、多くの動物を絶滅の危機に瀕していますが、その代表例がペンギン。南半球の海域を中心に餌を求め移動する彼らは、海洋環境の影響を受けやすく、18種類のペンギンのうち60%が、国際自然保護連合(IUCN)の危急種もしくは絶滅危惧種に指定されているそうです。この課題に対して、国を超え、南半球全体で取り組んでいる団体をご紹介しましょう。

whitley_awards_pablo02.jpg動画「Penguins as Ambassadors-Argentina」は、ペンギンの保護と海洋環境の健全化を目指す環境保護団体「Global Penguin Society(GPS)」の活動について紹介しています。GPSはアルゼンチンの海洋生物学者Pablo Borboroglu博士によって設立され、学術的アプローチのみならず、マネジメント・教育・エコツーリズムなど、様々な観点からこのテーマに取り組んできました。たとえば、クリスマスペンギンを海洋保全のシンボルとして「親善大使」に任命し、ペンギンの絶滅危機や海洋汚染の深刻さを広く世の中に啓発する活動を行ったり、パタゴニアで、地元コミュニティを巻き込み、ペンギンの生息地のためのマネジメント計画を策定し、その保護に努めています。彼らの国際的な活動は国内外で高く評価され、 2010年、優れた環境保護活動を表彰する「Whitley Gold Award」を受賞しました。

whitley_awards_pablo03.jpgペンギンはその愛くるしいルックスから、世界の人々に親しまれ、愛されてきた動物ですが、彼らがいま直面している絶滅の危機についてはあまり目を向けられていない感があります。GPSの取り組みをきっかけに、ペンギンの保護のみならず、海洋環境全体の保全に対して、私たちひとりひとりが課題意識を持つことがその解決への第一歩になることでしょう。

執筆:松岡由希子

[関連サイト]

環境保護活動を表彰する「Whitley Gold Award」のウェブサイト(英語)
「Whitley Gold Award」の過去の受賞プロジェクトや審査基準などが掲載されています
http://www.whitleyaward.org