急成長する中国の環境と経済の溝~エコトレックVol.14

中国の経済は、目を見張るスピードで発展。過去10年間で、国内総生産は二倍になり、高速道路の建設や、鉄道の敷設など、インフラの整備も急ピッチで進められています。一方で、急速な産業化によるひずみが顕在化しつつあるのも事実。消費スタイルの変化によって、一般家庭からも、日々、大量の廃棄物が排出され、大都市では、廃棄物の山と化した場所も少なからずあります。

水素燃料電池車による世界一周の旅「Mercedes-Benz F-CELL World Drive」は、世界第三の国土を持つこの中国を横断。上海から北京、西安を経て、ゴビ砂漠を西進し、カザフスタンにむかって走行中です。動画「Eco-Trek 14: China – Economic Growth and Environment」では、現在の中国が抱える”光”と”影”、そして、経済的にも環境面でも持続可能な成長を実現するための取り組みについて、詳しく紹介しています。

中国政府は、このほど、二酸化炭素排出量の大幅な削減を目指す五カ年計画を発表。経済成長を継続しながら、環境に対する一定の責任を果たす立場を明らかにしました。しかし、環境政策の専門家である米ニューヨーク州立大学のJonathan Schwartz准教授は、この政策実行における大きな障壁を指摘。環境に配慮しながら経済発展を実現したい中央政府と、雇用創出などの観点から経済発展を優先したい地方政府との間でギャップが生じているというのです。五カ年計画で掲げた目標を達成し、環境を大幅に改善させるには、クリーンエネルギー技術開発や環境配慮型モビリティの実用化、再生可能エネルギーの活用など、様々な分野への積極的な投資のみならず、地方政府への働きかけも含め、中央政府の粘り強い取り組みが不可欠でしょう。

では、このような複雑な課題を抱える中国に、私たちができることは何でしょうか?この動画では、私たち一人ひとりが、環境意識を高め、持続可能なライフスタイルに転換し、これによって、地球全体が環境にやさしいコミュニティとなることこそ、中国の持続可能な成長を促すと指摘しています。環境負荷の低い製品を選ぶ、省エネルギーを心がけるなど、一見小さな取り組みの積み重ねが、やがて世界全体の既存のスタイルに変化をもたらし、持続可能な未来につながることでしょう。

執筆:松岡由希子

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「Eco Trek」の公式ブログ(英語)
「Mercedes-Benz F-CELL World Drive」の旅をレポートするオンライン動画「Eco Trek」のブログです。
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