再生可能エネルギーコスト検証

イギリスのテレビ局BBCの制作している報道番組「BBC’s Panorama」では、2011年秋にエネルギー問題について取り上げました。テーマは、なぜ光熱費が高騰しているか。BBCの答えは「再生可能エネルギーを促進している国のエネルギー政策に問題がある」というもの。しかし「それは間違っている」と物申している団体があります。そうして制作されたのが、今回紹介しているこの番組です。

 

制作したのはAction for Renewablesという団体。再生可能エネルギーをイギリス国内に広めるキャンペーン活動をおこなっています。番組では最初に「BBCが光熱費の急騰を取り上げるのはよいことですが、原因は政策ではなく、エネルギー危機です」と持論の概要を紹介。そのうえで、BBCが「高くなった光熱費の2割が再生可能エネルギーへの投資に使われる」と暗示した内容は間違いだと指摘。エネルギー省の統計では再生可能エネルギーへの投資分は電気代のごく一部で、光熱費が上がった本当の原因は天然ガスの価格の急騰だと述べています。番組の後半ではさらに、1設備あたりで発電するためにかかる費用を従来の設備と再生可能エネルギーで比較し、従来の設備で化石燃料やガスで発電したほうが安く済む、というBBCの理論に反論。再生可能エネルギーは既に石炭と同じくらいのコストで、近い将来コストが下がること、洋上風力発電を進めることで国内に多くの雇用が生み出されることなどを紹介しています。

 

BBCの番組を見ていなくても、この番組の内容はよく理解できました。また、数値や事実に基づいて論理を展開しているので、説得力があります。日本の今後のエネルギーを考える上でも参考になりそうです。

執筆:曽我 美穂(Slow Media Works)

http://www.slowmediaworks.net” www.slowmediaworks.net

 

[関連サイト]

Action for Renewables(英語)

今回の番組に関するページです。

http://www.actionforrenewables.org/videos/why-bbcs-panorama-got-it-wrong-green-energy