木材燃料の可能性

冬の季節、私たちは、室内の暖房に、多くのエネルギーを消費し、大量の二酸化炭素を排出しています。そこで、イングランド中部にあるウェスト・ミッドランズでは、石油やガスといった化石燃料に代わるエネルギーとして、木材を積極的に活用しています。

動画「Wood Fuel Heating」では、木材燃料を消費者に供給する「ウェスト・ミッドランズ・フュール」社の取り組みを紹介しています。木材としては市場価値の低い丸太を倉庫で1年間、乾燥させ、チップ状にして、顧客に配送する仕組み。元来、木材は、種によって特性が異なりますが、これによって水分量にばらつきが出ないよう、加工過程で、厳しい品質テストを実施しています。同社では、このような加工倉庫を、ウェスト・ミッドランズやイングランド北西部にあわせて10ヶ所設置。顧客への配送距離を可能なかぎり短縮しようとしています。

また、木材燃料は、木材の購入量をベースに金額を定めるのが一般的ですが、「ウェスト・ミッドランズ・フュール」社では、ガスや電気の使用料金と同様に、顧客にメーターを導入し、熱出力量をベースに課金するシステムを導入。顧客にとっては、光熱費を管理しやすくなるメリットがあります。

「ウェスト・ミッドランズ・フュール」では、2010年から2011年にかけての冬シーズン、5253トンの木材燃料が供給され、年間3700トンの二酸化炭素排出量を削減できたとか。木材の加工から供給、課金方法にいたるまで、地元住民にとって、木材燃料を利用しやすい“インフラ”を構築している点などが高く評価され、2011年、英国の「Ashden Awards」を受賞しています。木材という代替エネルギーの活用を推進し、二酸化炭素排出量の削減に貢献している、成功事例のひとつといえるでしょう。

 

 

執筆:松岡由希子

[関連サイト]

ウェスト・ミッドランズ・フュール社の公式ウェブサイト(英語)

ウェスト・ミッドランズ・フュール社の会社情報や事業内容が掲載されています。

 HYPERLINK “http://www.wood-fuel.co.uk/” 

「Ashden Awards」の公式ウェブサイト(英語)

2011年受賞プロジェクト「ウェスト・ミッドランズ・フュール」について、概要や参考画像・動画が公開されています。

 HYPERLINK “http://www.ashdenawards.org/winners/mwf11”