豪州全域を賄う可能性をもつ地熱発電

greenpeace_hot_rox02.jpg地熱発電は、温室効果ガスの排出が少ないクリーンな発電方法です。中でも最近熱い注目を集めているのがHot Rocks(高温岩体)を使った地熱発電。一般的な地熱発電は地下にある天然の熱水や蒸気のたまり場に井戸を掘って自然噴出させ、噴出した熱水や蒸気を使って発電します。この高温岩体を使った地熱発電は、地下深くにある熱を持った岩盤「高温岩体」に向かって穴を掘り、そこに水を注入して人工的に熱水を作り出し、もう一方の井戸から蒸気を取り出して発電します。地表近くに熱水などが見つからない場所でも発電が可能なので、地熱発電をおこなえる場所がぐっと増えるのが魅力です。今回の番組では、オーストラリア南部のクーパー盆地でおこなわれている、この高温岩体地熱発電の取り組みを紹介しています。

制作しているのは、国際的な環境NGOグリーンピース。再生可能エネルギーの1つとしての高温岩体地熱発電の可能性に迫っています。最初に出てくるのはクーパー盆地にあるイナミンカという町。この町の住民はたった12人ですが、年間4万人以上の観光客と関連業者が訪れます。ここで今まで使われてきた電力源は、燃料で動くディーゼル発電機でした。その不便さ、かかるコストの高さを関係者が語っています。そうして紹介されるのが高温岩体地熱発電のプロジェクトです。ジオダイナミクスという企業の担当者が、発電の仕組みなどを詳しく説明し、最後には将来的な可能性として、オーストラリア全域の電力を高温岩体地熱発電でまかなえる、というコメントが出てきます。

このご時世で今まで以上に注目を浴びる、クリーンな発電方法。日本の地形にも適しているといわれる地熱発電について知識を深めるのに最適の番組です。

執筆:曽我 美穂(Slow Media Works)
www.slowmediaworks.net

[関連サイト]

● グリーンピース(英語)
今回の発電方法も含めた、再生可能エネルギーに関するサイトです。
http://www.greenpeace.org.au/climate/GI-ER-Report2010.php

● 高温岩体地熱発電とは(日本語)
発電の仕組みが分かりやすく載っています。
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/special/20100721/104312/