グリーン革命〜バイオマス編

nsf_biomass03.jpg化石燃料に代わるエネルギー源として期待されている、バイオマス。木材、生ゴミ、紙、海草などのバイオマスは再生可能であり、二酸化炭素の排出量も少ないので、地球温暖化を食い止める上でも有効なエネルギー源と考えられています。では、これらのバイオマス資源は、どのようなプロセスを経て、私たちの生活に必要なエネルギーへと生まれ変わるのでしょうか?動画「Green Revolution-Biomass」では、米国内の大学で実際に取り組まれている3つの研究事例を紹介しています。

nsf_biomass02.jpgアリゾナ州立大学では、バイオ燃料とするための藻が栽培されています。藻に含まれている油を燃料に転換し、エネルギーとして活用するための研究です。もちろん、藻だけでなく、木や葉などの植物も、バイオマス燃料に転換することが可能です。ただし、このために必要なプロセスとして、花の茎や樹木に含まれているセルロースを糖へと分解しなければなりません。セルロースは燃料を作り出すためのエネルギーが多く蓄えられているのですが、分解しづらいという特性があり、これが、燃料への転換において、大きな課題となっています。ウィスコンシン大学の研究室では、葉切蟻の習性から、セルロースを糖に分解するプロセスを解明しようとしています。葉切蟻は、巣に葉を運び、自分たちの食料となるキノコに餌として与えるという習性があり、これらの葉は、セルロースも含め、すべて分解されることがわかっています。また、セルロースの分解には、微生物が何らかの働きを担っているとみられていますが、その仕組みや機能は、まだ完全に解明されておらず、これについて、さらなる研究が進められています。一方、バイオマスの燃料転換を速めるための研究に取り組む例もあります。マサチューセッツ大学アマースト校では、化学と熱を用いて、おがくずをバイオオイルやガソリンに転換する研究が実施されています。

これらの研究は、いずれも、最先端の革新的な科学技術を用いて環境負荷の低いエネルギーの創出に取り組んでいる事例です。この動画の中では、実際の研究室の風景や実験の様子なども紹介されていますので、ぜひご覧いただき、地球温暖化やエネルギー多様化に向けた科学技術面からのアプローチについて、学んでみましょう。

執筆:松岡由希子

[関連サイト]

アメリカ国立科学財団(NSF)の「Green Revolution(グリーン革命)」公式ウェブサイト(英語)
アメリカ国立科学財団がまとめた、グリーンエネルギーやスマートグリッドなどをテーマとする動画集です
http://www.nsf.gov/news/special_reports/greenrevolution/