失われゆく森林~WWFオフィサーが語るスマトラ島の今

WWF_smatra_rough02.03.jpgインドネシアの島のひとつ、スマトラ島を皆さんはご存知ですか?’名前は聞いたことがあるけど、ひとまず熱帯林がうっそうとした島’というのが私の頭に浮かんだ印象でした。たしかに、かつてはこの島も全島が熱帯自然林に覆われた自然豊かな島でした。しかし、過去100年間にその森林面積は急激に減少し、今のままでは2010年までにすべて絶滅するとまで言われているのです。それに伴い、この森に生きるゾウやトラなどの動物たちの生存も脅かされているのです。

WWF_smatra_rough02.01.jpgさて、今回の番組ではWWF Japanで森林プログラムリーダーを務め、スマトラ島の熱帯林減少問題に取り組んでおられる前澤氏のお話を聞きながら、今スマトラ島で失われようとしている森林について考えていきたいと思います。
WWFの活動拠点のひとつスマトラ島の西部に位置するリアウ州は、植物の宝庫として世界的にも有名でした。しかし、過去20年間で、森林の3分の2以上が失われ、そこに生息するゾウの8割以上が消えてしまったのです。森林が減ることで生育地を奪われたゾウやトラたちは、人間と衝突する機会が増え、動物が殺されたり、逆に人間の生活が脅かされたりと悪循環が進んでいます。
このような現状を打開するために、WWF Japanは保護区の策定や保護区同士の結合、さらに木材の適切な売買を推奨しています。
こうしたスマトラ島の問題は、私達にはそれほど関係がないと思われるかもしれません。しかし、実際は私達が日常生活で使用する紙や木材が、このスマトラ島からやってきていて、上記の環境・社会問題の要因の一つを担っているとしたら…

WWF_smatra_rough02.02.jpg私たち消費者は、もっと自分たちが購入するものに責任を持たなければなりません。WWFも推奨しているFSCの認証マークは、地域的・経済的にも持続可能な形で生産された木材を意味しています。今度、紙などの木材製品を買う時には、ぜひこのマークを探してみてください。一人一人の意識の向上が大きな輪となって、スマトラの森、そしてそこに生きる動物たちの命をつなぐことになるのではないでしょうか?
執筆:Green TV Japan 大瀧

【関連URL】
●WWFのスマトラ熱帯林減少への活動
http://www.wwf.or.jp/activity/forest/irrigal/indonesia/tesso/forestcover.htm