CEO briefing~生物多様性と生態系サービスへの投資(末吉竹二郎特別顧問)

sueyoshi002.jpg企業の法令順守や社会貢献、環境活動等、企業のCSRへの取り組みが活発化している。また、第三者格付機関によるCSRをモノサシとした企業価値の測定やCSRの観点を重要視したSRIファンドも欧米では浸透し始めた。更に、2010年11月には、様々な組織(企業や政府、自治体、NGOや教育機関等)の社会的責任に関する国際規格、ISO26000が制定され、世界共通の取り組みへの指針として、大きな期待が寄せられている。

sueyoshi003.jpgこうした中、生物多様性や生態系サービスと経済活動とのマティリアリティ(重要性)をまとめたレポートがUNEP FIから発行された。今回の映像は、UNEP FIの特別顧問 末吉氏にご協力頂き、レポート内容の紹介や、生態系サービスと経済活動との関連性や、今後の企業における情報開示のあり方に関して、インタビューを行った。

「地球温暖化や生物多様性等は、経済活動が引き起こした問題。その解決には、経済の有り方、ビジネスの進め方を替える必要がある。」・・・コンテンツ終盤の末吉氏の印象的なコメントだ。

そのためには、企業が従来の有価証券報告書に含まれる経済指標に加え、CSRのトリプルボトムラインと言われる、E(環境)・S(ソーシャル)・G(ガバナンス)に関する情報開示がより促進されること、そして、それら情報をあらゆるステークホルダーにより、正しく価値判断が行われることが求められる。生物多様性や生態系サービスと調和した新しい21世紀の経済を創り上げるため、私たち自身も、売上高や経常利益、従業員数等、これまでとは異なる視点とモノサシで企業の価値を判断し、新しい経済活動のあり方を考えてみよう。ブータンのGNH(Gross National Happiness)が度々報道等で取り上げられている様に、従来の経済至上主義や拝金主義から、価値観の転換期が今まさに訪れようとしている。

執筆:萩谷衞厚

【参考サイト】
●UNEP FI
http://www.unepfi.org/

●CEObriefing(日本語版):
http://www.unepfi.org/fileadmin/documents/CEO_DemystifyingMateriality_jp.pdf