グリーンなスキルアップ

vso_teachers_got_talent01.jpgシエラレオネという国を知っていますか?西アフリカの大西洋岸に位置する人口510万人ほどのこの国は、1961年に英国から独立した後10年近く続いた内戦の影響により、いまだに混乱が続いています。国民の平均寿命は55.25才で、世界で最も命が短い国のひとつといわれ、15歳以上の識字率は35.1%と教育が十分行き届いていないという実態もあります。

vso_teachers_got_talent02.jpg貧困国にボランティアを派遣し、現地の発展や復興支援に取り組んでいる国際チャリティ団体「VSO」は、世界の子供たちに自分の持つスキルを他人と共有し合う意義を実感させ、かつ、ボランティア派遣に必要な資金の寄付を募ることを目的としたユニークなキャンペーン「Teacher’s Got Talent」を実施しています。そのコンセプトを紹介しているこちらのアニメーション動画「VSO Teacher’s Got Talent」では、シエラレオネの青年アバスが、VSOから派遣されたジェーンに養蜂のノウハウを学び、経済的に自立していくエピソードを例に挙げ、自身の持つスキルを積極的に他の人々に共有することが、彼らの真のサポートにつながることを伝えています。

vso_teachers_got_talent03.jpgこのキャンペーンでは、小中学校を対象に、生徒たちが「どの先生にどんなスキルを学ばせたいか?」を投票し合い、当選した教師がそのスキルを生徒から学びます。キャンペーンの参加校では、これらの取り組みのほか、シエラレオネに関する授業を行うことになっており、生徒がこの国の現状を学んだり、ボランティア支援のあり方などを考えたりするきっかけとしています。また、生徒たちの投票では1票あたり1ポンドを寄付するルールになっていて、これによりVSOへの支援金 を集める仕組みです。

「Teacher’s Got Talent」を通じて、生徒たちは「教える」という立場を経験し、自分のスキルを共有する喜びや楽しさを実際に感じることでしょう。この取り組みをさらに発展させることで、貧困国の人々と世界の子供たちが”共に育つ”という新しい「キョウイク(共育)」のカタチが生まれるかもしれません。みなさんもこちらの動画をご覧いただき、貧困国への支援のあり方や、彼らをサポートすべき国々の子供たちへの教育について、少し考えてみましょう。
執筆:松岡由希子

[関連サイト]
●「Teacher’s Got Talent」の公式ウェブサイト(英語)
国際チャリティ団体「VSO」が「Teacher’s Got Talent」の仕組みや狙いについて紹介しています。
http://www.teachers-got-talent.org.uk/