省エネホーム計画~断熱材で変わる町

ashden_awards09_kirklees02.jpgこちらの動画では、英国カークリーズ地方が取り組む、省エネリフォームプロジェクト「カークリーズウォームゾーン計画(Kirklees Warm Zone Scheme)」についてご紹介しましょう。イングランド北部にある人口40万人ほどのこの都市では、エネルギーの効率化や温暖化ガス排出量の削減に向け、各家庭の屋根裏や壁に断熱材・防熱パネルなどを無料で設置する取り組みが始まっています。2007年から3年間で4000万ポンド(約57億円)もの資金が投じられている全英最大規模の取り組みです。

ashden_awards09_kirklees03.jpgこの制度では、171,000世帯を対象に、各世帯を一軒ずつ戸別に訪問して、査定を実施。その結果、断熱化・防熱化が望ましいと判断された家屋に対して設置工事を行うという流れになっており、2010年6月末までに35,000世帯以上に工事が実施される予定です。住民にとっては家屋の省エネ化により光熱費を削減できるという利点がありますが、一方でこの制度は地域の新たな雇用機会にもつながっています。実際、これまでに200以上の雇用が創出され、地元の労働者をトレーニングするため、公立の職業訓練所も設立。専門スキルを持つスタッフを自ら育成し、質の高いサービスの提供に努めています。制度導入当初は、査定員の不足や納期遅れなど、様々な課題に直面したそうですが、地道な取り組みにより、設置工事やサービスの品質は次第に向上し、最初は多少懐疑的だった住民たちも高い満足度を示しているそうです。

ashden_awards09_kirklees01.jpg環境に優しく、住民の光熱コストを削減し、さらには地元の雇用創出にもつながるという、まさに”一石三鳥”の「カークリーズウォームゾーン計画」は、英国内でも高く評価されています。優れたエネルギー施策を表彰する「Ashden Awards 2009」では、大規模ながらも地域に根ざした独自の省エネ制度という面が評価され、優勝に輝きました。この素晴らしい事例は、英国のみならず、寒暖差の激しい日本においても、家庭の省エネ対策を考える上で大きなヒントを与えてくれています。「カークリーズウォームゾーン計画」に込められた思いや狙い、実際にこのせいどこれを利用した住民の声、設置工事の様子などが、この動画では詳しく紹介されています。ぜひご覧ください。
執筆:松岡由希子

[関連サイト]
●Kirkless Council(カークレス政府)のHP(英語)
「カークレスウォーム地区制度」(Kirklees Warm Zone Scheme)を運営しているカークレス政府の公式ウェブサイトです。この制度について詳しく紹介されています。
http://www.kirklees.gov.uk/community/environment/energyconservation/warmzone/warmzonemenu.shtml