再生エネルギーを学ぶ教育機関

太陽光や風力など、再生可能エネルギーへのシフトが世界的な課題となっている昨今、この分野での研究開発や大規模な発電インフラの建設が急がれる一方、エンジニア、デザイナー、建築家、建築家、設備の設置技術者やメンテナンス技術者にいたるまで、幅広い職種において、再生可能エネルギーに関する知識やスキルを身につけた人材の育成も不可欠です。

英国の「Center for Alternative Technology(CAT)」は、1970年代から、持続可能で低炭素な社会の実現に向け、再生可能エネルギーやグリーン建築に関する研究や技術トレーニングに取り組んでいる、教育機関。大学院コース、博士コースのみならず、実務家をトレーニングするための短期コースも充実しています。消費エネルギーの8割を、太陽光やバイオマス、風力といった再生可能エネルギーでまかなうなど、環境負荷の低い校舎になっているのも特徴のひとつ。学生は、この校舎に1週間単位で滞在し、様々なキャリアを持つ仲間たちと寝食を共にしながら、再生可能エネルギーについて、理論を学び、実践トレーニングを受けます。たとえば、新しい技術開発に取り組む研究員にとって、研究分野の知見を深めるだけでなく、その技術が現場でどう生かされ、何が起きるのか?を体験することは大切なこと。CATでは、校舎の屋根を使って、実際に太陽光パネルの設置作業を実践したり、キャンパスで泥まみれになりながら、土や麦わらなどに触れ、再生資源の建築への活用を研究しています。

CATは、35年以上もの間、持続可能な未来を創る人材を育成し続けることで、低炭素社会の実現に貢献している点が高く評価され、2011年には、サステナブルエネルギーへの優秀な取り組みを表彰する英国の「Ashden Award」を受賞しました。理論と実践をたくみに組み合わせる教育プログラムは、日本の教育機関でも参考になりそうですね。

執筆:松岡由希子

[関連サイト]

Ashden Awardの公式ウェブページ(英語)

英国の「Ashden Award」では、2011年の受賞プロジェクトのひとつである「Center for Alternative Technology」について、詳しく紹介しています

http://www.ashdenawards.org/winners/cat11

「Center for Alternative Technology」公式ウェブページ(英文)

Center for Alternative Technologyの理念やミッション、教育プログラムなどが掲載されています。

http://www.apparelcoalition.org/