省エネ電球大作戦

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ザ・サン紙は英国で発行部数NO.1のタブロイド新聞(日本で言うスポーツ新聞に近い)である。特に労働階級に愛読されているが、そのおふざけぶりを好んで読む人も多く、3面の裸のお姉さんに毎朝元気づけられる男性も少なくない。発行部数世界一の英字新聞という統計も出ている程影響力のあるメディアなことは確かである。
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そのザ・サン紙とサザーン電力(省エネ電球で発電所をなくそうという企画に電力会社が絡んでいるところがまたすごい。自社の持続可能なエネルギー対策として企画に協力している。)を動かしたのがクールnrgというオーストラリア企業。この映像作品の髪ぼさぼさのヒッピーなおじさんがその会社の社長、ニック・フランシスさん。オーストラリアでも有名なグリーン起業家であるフランシスさんは、省エネ電球を普及して2010年までに家庭の電球使用の50%を省エネに切り替え、二酸化炭素排出量を減らすという現実的かつ直球的温暖化防止対策を芯に置く。ブラウン首総率いるイギリス政府からも支持を受けた本企画は、決行日前からライトアップなどの広告展開が行われた。

2008年1月19日、決行日。企画は大成功を納め、450万個に及ぶ省エネ電球がザ・サン紙と共に配られた。結果、ギネスの記録に残る史上最大の省エネ対策キャンペーンとなり、全部取り付けられると1日で35万トンの二酸化炭素排出を防ぎ、2千万ポンド電力費が安くなると言う。成功の秘訣はタブロイド新聞とのメディア戦略とメッセージの分かりやすさ、行動の簡易さの組み合わせだろう。省エネ電球に替えるだけで個人でも温暖化を防げる、行動とその効果がすぐに結びつく。消費者が些細なことのようだけど、自分も含め、全国民がすれば大きな違いが生まれるのだと気づいた。ちょっと電球を替えてみる。それだけいいのだと、参加した人々の嬉々とした表情が喜ばしい。日本でもこのようなメディアをバックに大規模な温暖化防止キャンペーンが行われる日が来るのだろうか。日本に足りないのはニックさんのようなカリスマ性そのある行動派の先導者ではないかと思う。
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1983年に閉鎖された南ロンドンにある、バタシー発電所が企画のシンボルとして使用された。もう一つ有名な元発電所は今では人気のロンドン観光地となったテイト・モダン美術館。これは豆知識だが、両方ともサー・ジャイルズ・ギルバート・スコットという有名な工業建築家により立てられ、彼はロンドンの象徴的な赤い公衆電話をデザインした張本人である。ロンドンの象徴的な建築を利用するというイギリス仕立ての戦略がニクい。

関連webサイト
Cool nrg ホームページ(英語のみ)
http://www.coolnrg.com/

ウィキペディア:ザ・サン紙
http://www.thebigask.com

ウェブ版ザ・サン紙に掲載された企画についての記事(英語のみ)
http://www.thebigask.com

Southern Electric ホームページ(英語のみ)
http://www.southern-electric.co.uk/