大豆栽培が引き起こす悲劇 第一章

killing_fields1_002.jpg人間の食料としてだけでなく、家畜の餌としても大量に消費されている大豆。近年、これらの多くが南米の大規模農場で栽培されています。では、このような農場の周辺地域では、どのようなことが起こっているのでしょうか?国際環境NGO「Friends of the Earth」が製作した動画「The Killing Fields」では、現地で暮らす人々のインタビューを交え、その現状を詳しく伝えています。

killing_fields1_003.jpg大豆を栽培する大規模農場の急速な広がりにより、ブラジル・ウルグアイ・パラグアイ・アルゼンチンといった南米諸国では広大な森林が破壊され、カイオワ族など、先住民たちは先祖代々の地を追われています。先住民はもともと、森林や小川などを必要最低限だけ利用し、周囲の自然環境と調和しながら生活を営んできました。しかし、大規模農場から散布される有害な農薬が彼らの貴重な水源を汚染。元来生息している動植物の生命を危機にさらし、先住民たちに必要な飲料水や食料をも脅かしています。このような生活環境の悪化により、先住民の多くは長年暮らした土地を離れ、その人数はパラグアイだけで年間9万世帯にのぼるとみられています。また、農場での有害な化学物質の乱用によって、周辺住民の健康被害も深刻な問題に…。湿疹や下痢・吐き気、遺伝子疾患による奇形症候群、失明を引き起こすだけでなく、最悪の場合、死に至るケースもあるそうです。

南米で栽培される大豆の多くは、欧州の家畜の餌として輸出されています。つまり、欧州の畜産・酪農産業は、南米の大豆農場と強くつながっており、ひいてはこの地域の森林破壊や先住民の生活をも脅かしているのです。この問題は、大豆の多くを輸入に頼っている日本にとっても「対岸の火事」ではありません。まずは、この動画をご覧いただき、南米の大豆農場が引き起こしている現実を知ってください。

執筆:松岡由希子

【関連サイト】
「Killing Fields」公式ウェブサイト(英語)
この動画「Killing Fields」に関する公式ウェブサイトです。南米の大豆農場がもたらす影響について詳しく紹介されています。
http://feedingfactoryfarms.org